「税」が“主役”の一年だったが
誤解がまかり通る「財源」論
12月12日、この一年の世相を漢字で表す「今年の漢字」が発表され、「税」の文字が選ばれた。
税が選ばれたのは、消費税率が引き上げられた2014年以来、2回目。応募期間に投票された約14.8万票の中で5976票と最も多く、2番目は「暑」だった。
発表した日本漢字能力検定協会(本部・京都)は、岸田文雄首相が唐突に打ち出した所得減税やインボイス制度導入、防衛費増額を巡る防衛増税など、一年を通して税にまつわるさまざまな検討が行われ話題にもなったことを理由に挙げているという。
税に対する国民の意識や関心が高まっていることは悪いことではない。また少子高齢化や格差拡大、気候変動、経済安全保障など、さまざまなリスクや課題の解決に政府や財政の役割は強まっている。
だが政府支出や減税の「財源」を巡る議論には政府内ですら深刻な誤解がある。
所得減税の財源を巡る議論は典型だろう。