規模ありき踏襲の総合経済対策
予算規模は減税含め17兆円
政府は物価高対策や持続的賃上げなど5つの柱による「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を打ち出した。
対策にはその目玉となる国民1人当たり4万円の所得減税をはじめ、賃上げ促進税制やリスキング支援の拡充、半導体や蓄電池の国内生産拠点整備支援などの多岐にわたる取り組みを盛り込み、予算規模は減税を含め17兆円余りに膨らんだ。
「税収増の国民への還元」と「供給力の強化」と車の両輪に「低物価・低賃金の『コストカット型経済』から『成長型経済』に転換させる」のが狙いという。
その方向感は正しいが、対策の中身を見ると、規模ありきの一時的な需要喚起策の色合いが濃い。この経済対策によって成長が実現するかは定かではない。
既に需給ギャップはプラスになり、物価も2%物価目標を超える水準が長く続くインフレ経済になっている。「デフレからの脱却」が本当に必要なのは、政府の政策発想と財政運営だ。