所得減税は「人気取り以上」に深刻、どんな観点からも正当化できないPhoto:Anadolu Agency/gettyimages

減税の目的は何なのか?
総合経済対策、閣議決定

 岸田文雄政権は11月2日、物価高対応などを掲げて所得税の「定額減税」や低所得世帯への給付を柱にした総合経済対策を閣議決定した。対策の規模は17兆円前半とされ、この財源として、13.1兆円の2023年度一般会計補正予算を編成するという。

 だが問題だらけの対策であり、政府の政策構想力がここまで低下したかと、暗澹たる気持ちになる。とりわけ問題が大きいのは、岸田首相の指示で実施されることになった所得減税だ。第一に減税の目的が何なのかがはっきりしない。

 首相は税収増を国民に還元するのが所得税減税の目的だと言っている。しかし、税収が見込みより増えたら納税者に返すというのは、そもそもおかしな発想だ。

 選挙を意識した「人気取り政策」だとの批判が起きているのは当然だが、問題は人気取りだという以上に深刻だ。