中国を除いてサプライチェーン(供給網)を構築するのは難しい。アシナシトカゲや、放射性物質が付着した砂に対処しなければならないこともある。スマートフォンや電気自動車(EV)のみならず、ジェット戦闘機や風力タービンに欠かせないレアアース(希土類)磁石の生産がまさにそうだ。中国は数十年にわたりレアアース磁石の全生産工程で優位に立ってきた。レアアース磁石を大規模に一貫生産できるのは中国だけだ。米欧では現在、中国が関与しないレアアース磁石の需要が高まっており、さまざまな企業が世界中に広がるサプライチェーンをつなぎ合わせ、中国の市場優位を打破しようとあらゆる障害に立ち向かっている。レアアースの供給源を中国以外で確保するため、あるオーストラリア企業は、保護種である尻尾がピンク色の爬虫(はちゅう)類をレアアース採掘場から移動させるのに数年を費やしている。同社は韓国に精錬工場があり、ベトナムや米国でもレアアースの供給源を探している。