世界情勢の危険度がますます高まる中で、米国と同盟諸国の関係はかつてないほど重要になっている。そのため、米大統領が自らの権限を使って北大西洋条約機構(NATO)からの脱退を決めることがないよう議会が保険を掛けたことは、注目に値する。そのような行動を取る可能性のある大統領は誰なのか。米議会で先週可決された2024年度の国防権限法案(NDAA)には、大統領がNATO脱退を決める際の条件として議会との事前協議を義務付ける条項が盛り込まれた。これはティム・ケイン上院議員(民主、バージニア州選出)とマルコ・ルビオ上院議員(共和、フロリダ州選出)が共同提案した超党派の政策だ。同条項では、NATO脱退の決定には上院議員の3分の2の同意か、議会の決定が必要になると定められている。脱退に必要な資金の拠出を認めないことが、脱退阻止のメカニズムとして機能するという。