「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回、本書を読み解くのは、チャンネル登録者数累計195万人超え! 大人気YouTuberコヤッキー氏だ。コヤッキー氏は仲間を大切にすることで知られ、40人超のスタッフのなかには仲間へ健康的な食事をふるまうコックもいる。そして必要な仲間を探すときには紹介を大切にするという。そんなコヤッキー氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。(構成・橋本淳司)
紹介によって人生が大きく変わる瞬間
──コヤッキーさんは『スタートアップ芸人』を読んで、どんなところに共感しましたか?
コヤッキー:著者の森さんが、「一番優秀な人を紹介して」と言って、実際に次々と優秀な仲間を増やしていくところです。
僕自身、20代半ばに「紹介の力」の強さを学んだことがありました。
当時、知り合いの印刷会社の営業マンAさんは年収1000万円くらいありました。
でも「もっと稼ぎたい」と思ってその会社を辞め、出会いを求めて異業種交流会に行ってみたそうです。
結果、Aさんは「ウワッ! こいつスゲえ!」というBさんに出会いました。
しばらく話してAさんはBさんにこう言いました。
「あなたはめちゃくちゃすごい人ですけど、あなたが付き合っている人の中で、一番すごい人を紹介してもらえませんか?」
その結果、Aさんは
「Cさんがこのパーティに参加するから行ってみたら」
とCさんを紹介してもらったんです。
──すごい人に出会ったのに、それだけで満足しないで、さらにすごい人を紹介してもらうんですか? 普通の人にはない発想ですね。
コヤッキー:でも、この話はまだ終わらないんです。
別のパーティでCさんに会って、また、
「あなたの知り合いで、一番すごい人を紹介してもらえませんか?」
と頼んだんです。
するとCさんは、
「Dさんが参加するパーティがあるから行ってみたら」と。
それは参加費が10万円もするパーティでした。
──一般人にとって10万円はきつくないですか? ましてAさんは失業中ですよね。
コヤッキー:おそらくきつかったとは思いますが、Aさんは「本当に変わりたい」と思い、Dさんに会いに行きました。
するとDさんは、
「俺とビジネスの話をするなんて100万年早い。もし本当に俺と話がしたいのなら、全財産を下ろして×月×日×時にうちのオフィスに来い」
と言いました。
Aさんが指定された日時に全財産を持ってDさんのところに行くと、Aさんは、
「俺がビジネスを教えてやる」
と言ったそうです。
AさんはDさんからたくさん学び、半年後に全財産が3倍になりました。
Dさんは大手通信会社の役員でした。
Aさんは紹介の紹介でDさんと出会い、自分の人生を大きく変えました。
──Bさんに出会ってCさんを紹介してもらい、CさんからDさんを紹介してもらい、Dさんにビジネスを教えてもらったということですね。2回の紹介だけでAさんは成功者になったということですか?
コヤッキー:まさにそう。
よく考えてみると、「紹介してください」しか言っていませんよね。
これはまじめな努力家には盲点なんじゃないでしょうか。
まじめな人はどうしても自分でなんとかしようという傾向があります。
努力して大学に入り、資格を取得し、仕事もコツコツやります。
でも、Aさんは行動力と情熱と「紹介してください」だけなんです。
僕は、このときの学びをビジネスで取り入れています。
会いたい人に会うためのコツ
──紹介してもらうときのコツはありますか?
コヤッキー:『スタートアップ芸人』の中で、森さんは「一番優秀な人を紹介して」と言っていますが、僕はもう少し絞って伝えます。
例えばYouTuberを紹介してもらうなら、
「知っている人の中で一番登録者が多い人は誰ですか?」
ですし、経理を任せたい人を紹介してもらうなら、
「この人は一番経理を勉強しているなと感じた人で、なおかつ誠実な人はいますか?」
と聞いてみるのです。
僕は常に、ターゲティングやマーケティングを意識しています。
例えば、僕が女性と食事に行きたいと思ったとして、
「女性を紹介してくれたら紹介料1万円を払います」
と言ったら、女の赤ちゃんやおばあちゃんが目の前に現れるかもしれません。
それは僕がきちんと伝えていないからですね。
紹介してほしい人が目の前に現れるようにするには、例えば
「24歳から32歳の間の女性」
「ショートカット」
「音楽に興味がある人」
と頼まないといけない。
あまり絞りすぎてもダメですが、ある程度具体的にする必要があるのです。
とーやくんとの出会いも「紹介」
──自分の中でポイントを定めてから紹介してもらうんですね。コヤッキーさんにとって今まで一番印象に残る「紹介」のケースを教えてください。
コヤッキー:相方である「とーや」くんとの出会いです。
僕は当時、営業の仕事をしていましたが、近いうちにエンタメの世界で仕事がしたいと思っていました。
そこで知り合いの社長さんに、
「不器用で何もできなくてもいいのですが、地頭がよく、エンタメの教養がある若い人はいませんか」
と言っていました。
当時、とーやくんは楽して稼ぎたいと思っていて、その社長に
「エンタメに理解のある社長はいませんか」
と言っていたようで、「いい人がいるよ」と僕を紹介してくれました。
2回目に会ったときに、とーやくんは鍵型のチョコレートの詰合せを持ってきてくれました。
缶の中にチョコレートが並んでいて、時計回りにカカオ濃度が変わっていくというおしゃれなものでした。
とーやくんは
「チョコレートが好きだとお聞きしましたし、鍵は僕とあなたの出会いを表現します」
と言いました。
その瞬間、この人は相手に気遣いのできる人なんだと思いました。
車の中でたまたまディスクに入っていた『マクロスF』の音楽が流れ出したのをきっかけに、『マクロス』や『幽遊白書』の話で盛り上がり、とーやくんのエンタメ力の高さが僕の心を動かしました。
その数か月後に一緒に上京することになります。
紹介が僕らの運命を変えました。
コヤッキー、とーやというYouTuberは紹介が生んだといえますね。
YouTuber。
「コヤッキースタジオ」、「コヤッキーチャンネル」、「コヤッキーVlog(仮)」を運営。 1983年、静岡生まれ。高校卒業を機に、大阪の専門学校に進学。卒業後はデザイン事務所に勤め、デザイナーとして活動。 その後、勤めた会社で営業成績最下位だったとーやと出会い、コンビを組んでYouTubeを始めることとなる。 現在は登録者数120万人を超える「コヤッキースタジオ」を始めるとする複数のYouTubeチャンネルを運営しながら、音楽活動、飲食店経営など幅広い事業展開を行う一経営者としての顔も持つ。