一冊の「お金」の本が世界的に注目を集めている。『The Psychology of Money(サイコロジー・オブ・マネー)』だ。ビジネス、投資、資産形成に効く教訓を「人間心理」の側面から教える、これまでにない一冊である。世界累計400万部超と大ベストセラーとなっている本書は、ウォールストリートジャーナルからも「ここ数年で最高かつ、もっとも独創的なお金の本」と高い評価を受けている。今回は、本書の内容をイラストと共に紹介する。(イラスト©野田映美)

心理学者のキャンベルは、他と比べて明らかに幸福度が高い人々がいることを明らかにした。

ただしその要因は、収入や地域、教育などではなかった。収入が高くても、良い地域に住んでいても、教育レベルが高くても、慢性的に不幸を感じている者は大勢いた。
幸福度の高い人々に見られた一番の共通点は、もっと単純なことだった。キャンベルはこう述べている。

「従来の心理学が考察してきた客観的な諸条件のどれよりも、人間に幸福感をもたらす信頼性が高い要因は、人生を自分でコントロールしているというはっきりとした感覚があることだ」
つまり、どんなに高い給料よりも、どんなに大きな家よりも、どんなにステータスのある仕事よりも、

「好きなときに、好きな人と、好きなことができる」生活を送れることのほうが、人を幸せにするのである。
そして、「お金」が私たちにもたらす最大の価値がそれだ。お金は、自分の時間をコントロールできるようにしてくれる。
これは、誇張ではない。蓄えが増えるごとに、人は周りの都合に左右されることなく、自律的に生きられるようになっていく。「何を、いつするか」を自分で好きなように決められるようになるのだ。

(本原稿は、モーガン・ハウセル著、児島修訳『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』をマンガ化したものです)