国交省の試算を
「呆れた」「お粗末」「小学生でもできる」
今、東海道新幹線のダイヤはギューギューで、「のぞみ」が静岡県の駅には止まらない。特に東京方面へのダイヤ増便、東京から静岡へのダイヤの増便は、地元からの強い要望があった。それが、リニアが開業することによって、ダイヤに余裕ができる。国交省の調査によれば、品川~大阪間の全線開業で、静岡県内6駅(熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松)への停車本数が約1.5倍に増え、その経済効果は10年間で1679億円になる可能性のあることがわかったのだ。
これまで、意味不明に高い条件を突き付けてきた川勝知事。そして、その妨害行為を応援し続けてきた静岡新聞がどのような反応をするかに注目が集まっていた。つまり「慎重に進める」ことが静岡県への経済効果発生をひたすらに遅らせるという行為に等しいということが突き付けられた。
社説を見てみよう。
「国交省の調査は良くも悪くも可能性を示したに過ぎない」
「県も静岡空港新駅の設置を目指して複数年にわたって調査費を計上し、新駅ができた場合の新幹線の運行パターンを独自に検証したことがある。JRの領域に踏み込んで意義に乏しい調査をしたという意味では同じで、一概に国交省を批判できない」
確かに、地元にメリットがあることがわかっても、川勝知事や静岡新聞が必死になって打ち消しに走れば、その印象操作により県民世論には疑念が生じ、その結果リニア着工は、どんどん後ろ倒しにされていくことになる。
川勝知事は、この「静岡県に10年間で1679億円の経済効果が発生する」調査を、知事記者会見(10月23日)でこのように受け止めている。
「大官僚組織がやるほどのことなのか。お粗末なものを出して、総理に対して気の毒なことになった」
定量的な経済効果が示されたことに対して、一体国交省の何を批判して「小学生」や「お粗末」と罵っているのか、実にわかりにくい。
追い詰められて、焦っているようにしか感じられないのだが、静岡新聞の手にかかると、「『国交省鉄道局は言ったことに責任を持ってほしい』とくぎを刺した。いかにも知事らしい歯に衣着せぬ物言いだ」とすごくポジティブな評価に早変わりを見せてしまう。
続けて、「地元自治体として増便に向けて地域の需要を掘り起こす役割があることも忘れてはならない」などと、バランスある言い方で補足しているようだが、この調査を「意義に乏しい調査」と切り捨てる時点で、究極の「おまいう」であろう。
静岡新聞には、リニア開通が静岡県にとって経済効果があることを認めさせ、地域の需要を理解させた方が良さそうだ。