写真:静岡県の川勝平太知事と山梨県の長崎幸太郎知事富士山の世界文化遺産登録10周年を記念する式典を前に、取材に応じる静岡県の川勝平太知事(右)と山梨県の長崎幸太郎知事 Photo:JIJI

リニア中央新幹線の工事を巡る「水問題」でJR東海や山梨県と泥仕合を繰り広げている静岡県の川勝平太知事は、記者から「無理筋」と指摘される拡大解釈を記者会見で連発している。そのハイライトを三つご紹介したい。(イトモス研究所所長 小倉健一)

日本の新たな「大動脈」リニアは
今も開業に暗雲が垂れ込める

 6月2日、太平洋側の記録的な大雨の影響で、東海道新幹線は東京駅から名古屋駅までストップした。一夜明けて、3日になっても名古屋駅の大混雑はなくならなかったようだ。

 FNNプライムオンライン(6月5日)は次のようにその混乱ぶりを伝えていた。

「大雨から一夜明けた3日(土)の名古屋駅の改札前には、運転再開を待つ人が詰めかけ大混雑となりました」

「さらに、駅構内にも多くの人がごった返し、身動きがとれない危険な状態に。あまりの人の多さに警察官も出動し、駅員らとともに誘導を行います」

「正午過ぎには運転再開したものの、そこから2時間たっても、東京方面の新幹線に乗ろうとする人の行列は途切れることなく、駅に入りきれない人たちが、数百メートルにわたって大行列を作っていました」

 もし、リニア中央新幹線が開通していれば、と考えた人も多かったのではないだろうか。リニアは太平洋沿岸を走らず、その多くの区間でトンネルを走ることで知られている。静岡県は南海トラフ地震も心配だが、このような異常気象が起きたときには、日本列島の真ん中を通るリニアがバイパスのような役割を果たせるだろう。

 さっさとリニアは開業させた方がいい、そんなことは誰の目にも明らかだ。そう、あの知事を除いて――。