“リニア妨害”川勝知事の応援団、静岡新聞に異変 社説で知事批判「無意味なパフォーマンス」Photo:SANKEI

リニア中央新幹線の静岡工区の着工を巡り、静岡県とJR東海の議論が続いている。これまで地元の静岡新聞は川勝平太静岡県知事の主張を支持してきたが、イトモス研究所所長の小倉健一氏は社説に変化が見られると指摘する。(イトモス研究所所長 小倉健一)

川勝知事を応援する
静岡新聞の主張

 静岡新聞といえば、リニア中央新幹線静岡工区での建設着工を妨害することに血まなこになる川勝平太知事を必死で支えてきた、数少ない応援者だと言っていい。1年ほど前(2022年9月16日)には、こんなことを主張していた。

「静岡工区の着工を巡る議論の膠着(こうちゃく)打破に向け金子社長の新提案を期待したが、かなわなかった」
「早期着工の連呼は、事態の混迷を深めるだけだ」

 川勝知事とJR東海、事態の混迷を深めているのはどちらだろう。事態の混迷が深まれば、深まるほどに、この事態を取り上げるメディアが増えてきた。やっと静岡のローカルニュースが、日本全国のニュースとなったのである。リニア中央線幹線の開業が遅れれば遅れるほど、困るのは沿線住民であり、その範囲は広範囲に及ぶ。当然のことである。

「光が当たれば、闇は消える」という言葉のように、何が起きているのかが明らかになればなるほど、川勝知事がひたすらに嫌がらせを続けていることが世間にさらされてしまった。

 そこで巻き起こったのが、川勝知事への批判なのだが、川勝知事を応援する静岡新聞はお気に召さなかったようだ。今年の4月(2023年4月17日)には、次のような主張をし始める。

「ここに来て静岡県と川勝平太知事の『悪者論』が横行している」
「『静岡県がリニア工事を妨害し、孤立している』との印象操作がはびこる」
「(なぜ協議が混迷するのか。それは)JRがけじめをつけないから」 

 だが、口先では「リニア推進」に賛成と言いながら、建設許可に至るゴールを示さず、嫌がらせを続けていれば、「悪者論」になるのは当たり前のことだ。

 静岡県で圧倒的なシェアを誇る静岡新聞である。自分たちの思い通りに県政が進むという傲慢な勘違いをどこかでしてしまったのだろうか。デジタル社会になって本当によかったと思う。川勝知事の異様さ、静岡新聞の異様さが、白日の下へとさらされることになった。

 そして、10月31日の社説。この社説は、国交省が、リニアが開通したら、静岡県にどんな経済効果をもたらすものかということを調査した結果が明らかになったことを受けての社説だ。