「静岡新聞」の社説で
川勝知事批判

 そんな川勝知事を支える静岡新聞を、私はこの1年間ずっとデジタル版「あなたの静岡新聞」という有料サイトでウオッチを続けてきた。そこで気づいたことは、サイトにある「週間アクセスランキング」に表れる違和感である。

 例えば、産経新聞のデジタルサイトでは、川勝知事の動向を批判的に追った記事などは常に上位にランクインしている。Yahoo!ニュースでも同じような傾向だ。しかし、静岡新聞における「川勝知事の応援記事」はなかなか上位に入ってこない。12月18日、やっとJR東海の記事が1番になったと思ったら『静岡、浜松の「ひかり」停車、1日1本追加 来春の東海道新幹線ダイヤ改正』という記事だった。

 読者の傾向は、ものすごく簡単だ。川勝知事を応援し、JR東海をおとしめても誰も読まない。逆に川勝知事を批判的に捉えた記事ではよく読まれる。そして、読者にとって影響がある「ダイヤ改正」についてはたくさん読まれているということだ。静岡新聞は、もう少し読者に向き合った方が良いのは言うまでもない。

 こうした中、同じ12月18日、またリニアについての社説が出た。「(国土交通省の専門家会議が、環境保全措置についての報告書をまとめたが)議論が尽くされたのか疑問が残る」「発言内容が十分に報告書に反映されたとは言い難く、事業推進ありきの姿勢が色濃かった」といつものように難くせで終わるのかと思って読み進めていくと、「川勝平太知事は報告書がまとまる直前に環境省を電撃訪問し、国交省への働きかけを求めたが、政務三役にも会えずじまいだった。実を得るためには、無意味なパフォーマンスではなく、より戦略的な対応が必要だった」と、川勝知事の振る舞いを「無意味なパフォーマンス」とこき下ろして、社説を結んでいる。

 川勝知事が無意味なパフォーマンスを続けてきたのに、今になって批判をするのは、むしろ川勝知事応援記事が誰にも読まれないことへの八つ当たりに見える。これまでの「リニア妨害」社説との整合性を必死で取りながら、川勝知事にブチ切れてみせるところを見ると、川勝知事のヤバさとも距離を取り始めようとしているのだろう。

 この社説の立場は、読者にとってとてもわかりにくい。さっさと過去については読者に謝って社説を方針転換すべきだろう。過ちを改めざる、これを過ちという。静岡新聞は読者に、もっと寄り添った紙面づくりをするべきだ。