通帳、印鑑、キャッシュカードの扱いに要注意!

3つ目は、「贈与財産の管理処分権限の未移行」です。もらった人がそのお金を自由に使うことができたか否かという論点については、これも対策は一つしかありません。

 贈与をするのであれば、通帳、印鑑、キャッシュカード、この3点セットは、贈与した相手が管理するようにしてください。通帳の管理ができないような、小さい子どもへの、贈与の場合は、親権者が通帳を管理しても問題ないので、そのようにしてください。

 未成年のときは親が管理していればよいのですが、現在は18歳が成人年齢なので、基本的には18歳になったらきちんと本人に渡してあげなければなりません。その意味では、贈与をするなら思い切って贈与していく必要があるので、その点はご注意ください。

税務署が怪しむ銀行通帳とは?

 4つ目は「名義預金の疑いを向けられる通帳」です。税務調査に選ばれると、家にある通帳を全て持ってくるよう言われます。それらを見ていくと、名義預金の疑いを向けられる通帳には、全て同じ特徴が残っています。それは、入金しかない通帳です。

 預け入れ欄に、110万円ずつどんどんたまっていっているけれども、それを使っている形跡が全くない通帳については疑いを向けられます。なぜ疑われるかというと、お金を引き出さなかった理由を教えてくださいと質問があった場合、調査官としては、お金を引き出せなかったのではないかという疑いの目を持っているのです。

 この質問に対して、実は自分では持っておらず父親が管理していたというような話をすると、一発で名義預金と認定されるのでご注意ください。この点については、もらったお金はそのままにしておくのではなく、実際に使うことをオススメしています。従って、普段使いの通帳に振り込んであげることが最もオススメなので、ぜひその方法を採っていただければと思います。

(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋・追加加筆したものです)