サウナの入り方に戸惑う初心者から、サウナ慣れしてととのいにくくなってきた熟練サウナーまで! それぞれに合わせた「究極にととのう」ための入り方を、自らもサウナーの医師が解説した書籍「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」が発売に!日常のパフォーマンスをあげ、美と健康をレベルアップする「最高のサウナの入り方」を、世界各国のエビデンスを元に教えます。この連載では本書より、一部を抜粋してご紹介します。

【正月太りをサウナで解消】サウナのダイエット効果が台無しになる行動・ワースト1photo:AdobeStock

「汗を大量にかくから痩せられる」は間違い

 「汗を大量にかいて体重が一時的に減ること=ダイエット」だとするなら、「サウナでダイエット」はマユツバです。
しかし、サウナはダイエットに全く効果がないかというと、実はそうではありません。サウナに入ることで分泌されるホルモンを足がかりに説明していきます。

サウナに入ると甲状腺ホルモンが分泌される

本書のP70で少し説明したように、サウナに入ると色々なホルモンが分泌されます。その中のひとつが「代謝ホルモン(甲状腺ホルモン)」です。
甲状腺ホルモンが分泌されるとどうなるのでしょうか。

人間は、食事を摂れなくなったときのために、体内にエネルギーを貯蓄しています。でも、それはあくまでも飢餓状態に備えた保険です。だからふだんは、食事で得たエネルギーを使い、貯蓄分には手をつけません。
しかし、甲状腺ホルモンが分泌されると、代謝のスイッチが切り替わります。「食事で得た分」から「貯蓄分」に替わるのです。サウナという危機的環境に置かれることで、「こんなときに食事をしている余裕はない。今こそ、貯蓄エネルギーを使うときだ」と体が判断するからです。

サウナには「ファスティング」と同様の効果がある

ファスティングというのは断食のことで、最近は16時間という短時間の断食が人気のようです。なぜ16時間なのかというと、断食後16時間で代謝のスイッチが「食事で得た分」から「貯蓄分」に切り替わるから。

サウナに入ったとき同様、「食事から全然エネルギーが入ってこない。飢餓状態だから貯蓄分を使おう」と体が判断するのです。
ファスティングの際の甲状腺ホルモンの変化は非常に特徴的で、これと同様の変化がサウナに入ってわずか20~30分後に現れます。
つまり、本来は約1日かけてやっと得られるファスティング効果を、サウナなら20~30分で叶えられるということです。

糖分を摂るとファスティング効果が台無しになる

サウナでファスティング効果を得るためには注意点があります。それは、サウナ前~サウナ中に糖分を摂ると、甲状腺ホルモンが出なくなる(*29)ということです。「エネルギーがちゃんと入ってきている」と脳が認識して、スイッチを切ってしまうからです。
だから、サウナ前にご飯を食べるのはNG。また、サウナーが大好きな「オロポ(オロナミンC+ポカリスエット)」「アクエリアル(アクエリアス+リアルゴールド)」、スポーツドリンクなどにも糖分が入っているため、ファスティング効果を狙うなら控えたほうがいいでしょう。

*本記事は、「医者が教える 究極にととのうサウナ大全」から抜粋・編集したものです。