洋服には人格が表れ、ファッションとは最大の発信ツールです。そして、自分がどんな人間かを発信するその形は「スタイル」と呼ばれます。韓国風ファッションやギャル系ファッションなど、○○風、○○系と言われるものもそうです。誰でも相手をファッションによって「○○な人」と判断しています。連載『伝説のスタイリスト・近藤昌の「人生を変える装い」』の第7回では、ファッションでよく言われる「スタイルとは何か?」を掘り下げていきます。(スタイリスト&ファッションディレクター 近藤 昌)
スタイリストという仕事
スタイリストは文字どおり、「スタイル」をつくる仕事です。「どういう洋服を着ると、どんな人間に見られるのか」を知っていて、クライアントのニーズに合わせてファッションで人間性を演出します。
たとえば、頭からつま先までファストファッションだと、やわらかい大衆の印象になります。それを、全身サンローランに変えるとロックテイストが混じったモードなエレガントさをまとうことになります。どちらが良い悪いではありません。TPOに合わせて「スタイル」をつくります。
「普段はスーツなのでいいのですが、私服は何を着たらいいのかわからないんです」という悩みをよく聞きます。たしかにスーツをビシッと着こなしたビジネスパーソンがオフのときも白と黒だけで固めていたら、ちょっと真面目すぎて付き合いにくい印象を与えてしまうかもしれません。
他人から見たらビジネスシーンとカジュアルシーンが折り重なったところが、その人全体のスタイルになります。
40代、50代の男性がブランドを選ぶなら、2023AW(2023年秋冬シーズン)は、ストリートブランドから大人っぽくなっているStussy(ステューシー)やシンプルながら少し遊び心もあるNOAH(ノア)がおすすめです。
これらのブランドを着たこともない40〜50代男性も多く、戸惑うかもしれません。しかし、いざ着てみると意外な変化が起こります。