金融の世界において「今回は違う(This time is different)」という言葉ほど危険なものはない。しかし米シティグループの場合、少なくとも「今回は全く同じではない」と言った方が安全かもしれない。シティ株はこの3カ月間、グローバル展開する米銀大手6行の中でトップを走り、30%余り上昇した。だが、同株はバーゲン狙いの投資家を引っかけた過去がある。2019年にはシティの株価は50%余り上昇し、JPモルガン・チェースなどの同業他社を大きく上回った。だがファクトセットのデータによると、2020年2月以降、米6大メガバンクの中で唯一マイナスリターンを記録している。昨年は株価有形純資産倍率が0.5倍未満で取引を終えたこともあった。0.5倍を下回ったことはそれまで10年以上なかった。20年2月以降、同行は規制当局による同意に基づく命令、経営陣の交代、技術インフラの刷新、事業撤退、ウォール街の活動の急減速など、大きな問題に対処してきた。
シティグループ、同じ轍を踏まないためには
シティ株のここ数カ月の値上がり率は米銀大手6行でトップだが、今後の決算がカギ
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