資産運用を始めようと思ったときに「やったら損することワースト1」

「将来のお金が不安」「貯金や投資なんて余裕はない」「買い物を楽しめない」──​お金の悩みは尽きることがない。そんな中で「若い人ほど読んでほしい」「お金の知識を網羅的に学べる」と絶賛の声を集める本がある。『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』だ。誰でも今日からスタートできる「お金の増やし方」を提示し、世界で累計100万部突破した大ベストセラーだ。Amazon.comでは1万件以上の星5レビューが集まり、全米から世界中へと本書の実践者が増えている。本稿では本書から一部を特別に公開する。

必要のない金融商品を買わされていませんか？

　数年ほど前、友人であるジョーから彼が投資している資産について意見を求められた。

　頼りにしていたファイナンシャル・アドバイザーにだまされているのではないかと疑念を抱いていたのだ。

　5分間話しただけで、彼がまずい状況にいることがわかった。

　ジョーは若手の起業家で、大金を稼いでいたため、そのアドバイザーは彼を利用すれば今後40年間、お金を巻き上げられることを理解したのだ。

　私は彼に次のように告げた。

●「終身保険」や「年金保険」など、危険信号を発するいくつかのキーワードが含まれている。つまり、君はほぼ間違いなく無駄なお金を払っており、最悪、だまされている可能性すらある。

●過度な手数料を払わされており、君の年収であれば、手数料は将来的に数十万ドルにもなり得る。

●手数料の安い証券会社にサービスを移行すべきだ。手数料は抑えられ、運用パフォーマンスも改善するだろう。そのアドバイザーは感情に訴えかけるあらゆる手段を駆使して、君の行動を阻止しようとしてくる。そのため、口頭ではなく文書でやり取りしよう。

　まさにショーが始まろうとしていた。私は椅子に座り、両手をこすり合わせた。こういう輩のために私がいるのだ。

　次の週、彼とそのアドバイザーはメールでのやり取りを繰り返した。

　予想通りジョーの契約解除の意向を受け、アドバイザーはショックを受けていた。

「ここ数ヵ月の間、何度か話をしてきましたが、一度も不満や悩みをあなたの口から聞きませんでした。そのためショックは大きいです……」
「……すべてご自身でプランニングや投資判断を行うのは、賢明なアイデアとは思えません……」

　私が一番好きなのは、「もしそれでも契約解除をご希望であれば、あなたの口座を解約する方法についてご説明さしあげます」というセリフだ。

　私の友人は感情に訴える手法には躍らされなかった。

「あなたと共に下した判断が、本当に私にとって最善の利益だったのか自信がありません。自分の考えが正しいのかどうかはわかりませんが、今のような感情を抱いたまま、あなたに資産の管理をお任せすることは難しいと思います」

　私はジョーにA＋（最高点）をあげたい。彼は数十万ドルもの手数料を節約しただけではなく、パーソナル・ファイナンスにおいて気丈に振る舞う模範的な態度を私たちに見せてくれた。

そのアドバイザーは、単なる金融商品のセールスマンだ

　もしファイナンシャル・アドバイザーに資産運用を相談しているのであれば、フィデューシャリー・デューティー〔受託者責任。資産運用業務に従事する者が顧客の最善の利益を追求する義務〕を負っている立場かどうか尋ねてみてほしい。

　ジョーのアドバイザーは負っておらず、単なるセールスマンだった。

　これは彼が推薦してきた投資商品からも明らかだ。ジョーは独身でまだ20代なのにもかかわらず、生命保険に投資させられていた。

　ジョーのような人物が生命保険に入る唯一の理由は、扶養家族がいる場合だけだ。アドバイザーを儲けさせるためではない。

　もしあなたのアドバイザーがフィデューシャリー・デューティーを負っていなければ、相談する相手を変えるべきだ。

　感情に訴えかける彼らの謀略にだまされてはいけない。目的から目を逸らさず、投資リターンを最優先させよう。

資産運用にファイナンシャル・アドバイザーは必要ない

　ここで学ぶべき大切な教訓は、ファイナンシャル・アドバイザーは大半の人にとって必要ないということだ。

　ただ、もしあなたの選択がファイナンシャル・アドバイザーを雇うか、投資をしないかの二択であれば、アドバイザーを雇おう。

　大金を相続した人や忙しすぎて投資について学ぶ暇がない人は、アドバイザーに頼るのも選択肢の1つだ。

　投資を始めないよりは、少し手数料を払ってでも投資を始めた方がマシだ。

　ただ、忘れないでほしいのは、多くの人がたった数時間、投資を学ぶ手間を惜しんだがために、亡くなるまでファイナンシャル・アドバイザーに手数料を払い続ける羽目に陥る。

　20代の間にお金について学ばなければ、あなたは次のいずれかの形で大きな代償を払うことになるだろう。

　何もせずにお金をそのまま寝かせて無駄にするか、もしくは赤の他人に管理を任せて法外な手数料を払うことになる。

（本原稿は、『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』からの抜粋です）