石川県の金沢駅~七尾駅~穴水駅と、能登半島を縦貫する鉄道ルートは、JR西日本と2つのローカル線、計3社が運営を担ってきた。3月16日には北陸新幹線・金沢駅~敦賀駅間の延伸開業を控える中、全長99kmにも及ぶこの鉄道ルートを全て復旧できるのだろうか。「上下分離方式」と呼ばれるスキームもあって、復旧にかかる費用を誰が負担するのか、非常にややこしくなりそうなのだ。(乗り物ライター 宮武和多哉)
能登地震で被災「のと鉄道」は復旧できるのか
北陸新幹線・金沢駅~敦賀駅間の延伸開業が迫る
令和6年能登半島地震で、石川県七尾市と穴水町を結ぶ「のと鉄道」(七尾駅~穴水駅・約30km)は甚大な被害を受けた。
最大震度7の揺れに見舞われた鉄道沿線は、人1人分ほどの巨大な岩石がトンネルをふさいでいる箇所もあり、路盤の陥没や線路の破断も至る所で見受けられるという。1月9日には国土交通省の依頼を受けた「鉄道災害調査隊(RAIL-FORCE)」が被災状況の調査を行ったが、復旧にかかる費用・期間はまだ明らかになっておらず、運行再開のめども立っていない。
一方で、北陸の中心都市・金沢から七尾市に直通する「IRいしかわ鉄道」やJR七尾線は、1月15日には金沢駅~羽咋駅間で運転を再開。その先の羽咋駅~七尾駅間も、1月22日に運転再開の見込みだ。
能登半島を縦貫し、金沢駅~七尾駅~穴水駅とつながる鉄道ルートは、現在は、IRいしかわ鉄道、JR西日本、のと鉄道の3社に分かれている。IRいしかわ鉄道とのと鉄道は、石川県や沿線自治体が出資する第三セクターの鉄道であるが、金沢市に近いIRいしかわ鉄道と、半島の北側にあるのと鉄道の経営状況は対照的だ。
◆IRいしかわ鉄道
・22年度は9593万円の黒字
・コロナ禍の20年度、21年度以外は黒字をキープしてきた
◆のと鉄道
・22年度は261万円の最終赤字
・コロナ禍の前から11年連続で赤字
IRいしかわ鉄道は、第三セクター鉄道等協議会に加盟する全国40社の中でトップクラスの業績を上げ、「地方3セクの優等生」とも言われている。しかし、実はこの黒字体質は、IRいしかわ鉄道の津幡駅~金沢駅間に、JR七尾線の全列車が乗り入れることで実現している(1日約50本、運賃は別)。
3月16日には、北陸新幹線・金沢駅~敦賀駅間の延伸開業を控える中、全長99kmにも及ぶこの鉄道ルートは、全て復旧できるのだろうか。