今年も豪雨により、ローカル線で深刻な被害が生じている。歴史の古いローカル線は山間部を、河川を幾度も渡りながら縫うように進むため、土砂災害、河川氾濫の影響を受けやすい。JR東日本、JR西日本などはローカル線のあり方を見直す考えを表明しており、こうした中、多額の費用をかけてまで復旧すべきかという議論が今後、さらに高まる可能性もありそうだ。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
全国各地で
深刻な被害
もはや、毎年の行事のようになってしまったと言うべきか。今年も、豪雨がローカル線に牙をむいた。8月3日から4日にかけて東北地方から北陸地方を襲った豪雨では、奥羽本線下川沿~大館間、津軽線蟹田~三厩間で路盤(線路の盛り土)が流失、磐越西線喜多方~山都間、米坂線羽前椿~手ノ子間で橋梁が倒壊する甚大な被害が発生し、復旧には相当な時間がかかる見通しだ。
また台風8号の影響で13日から14日にかけて再び東北を襲った豪雨でも、奥羽本線、五能線、花輪線で被害が発生。奥羽本線弘前~新青森間は17日から運転を再開し、五能線五所川原~鯵ケ沢間は24日頃の復旧を予定しているというが、橋梁が損傷した五能線鯵ケ沢~岩館間、路盤が流失した花輪線鹿角花輪~大館間は運転再開のめどがたっていない。