福岡県は各自治体の中でも有数の
「ブルーカーボン先進県」

 磯焼け対策から「ブルーカーボン先進県」へ――。福岡県は各自治体の中でも有数の「ブルーカーボン先進県」といえる。

 福岡市は18年に「博多湾NEXT会議」を設置し、博多湾におけるアマモ場(藻場の一種)の育成に取り組んでいる。「博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」も実施し、23年には全国に先駆けてブルーカーボンを販売した実績も話題となった。

「ブルーカーボン・オフセット制度」は、いわゆるCO2排出権取引*2と同様で、港湾での藻場が吸収し固定したCO2量をクレジット化し、「ブルーカーボン・クレジット」として企業や個人に販売するものだ。

 県内有数の漁港を持ち、観光地でもある糸島市でも「ブルーカーボン」の取り組みが進んでいる。同市は60km以上続く海岸線を有し、豊富な海洋資源の恩恵を受けているとともに、環境保全にも力を入れている。

 その糸島市でも、磯焼けが深刻だ。今年を例にとっても酷暑が続いた影響なのか、海水温が下がらずワカメ養殖の種付けが例年よりもだいぶ遅れているという。ワカメが生育できなければ磯焼けの進行には歯止めがかからない。漁協関係者は影響が長引くことを懸念している。

 その糸島で、健康食品・化粧品の開発販売会社で、「フコイダン」などを成分とした化粧品や健康食品に特色がある、地元企業のKAISOビジネスを展開するヴェントゥーノ(福岡市中央区、代表取締役社長 中野勇人)と、糸島漁業協同組合(糸島市、代表理事組合長 仲西利弘。以下、糸島漁協)とが「ブルーカーボン推進における地域貢献協定」を締結。海藻の養殖量を増やすことで、自然栽培のワカメも増やしていく取り組みを21年にスタートさせた。

地球温暖化をワカメが救う?「海の砂漠化」を防ぎ雇用も生む福岡県の取り組みとは?ブルーカーボン推進における地域貢献協定 発表会の様子
*2 温室効果ガスの削減・吸収量を、決められた方法に従って数値化し、取引可能な形態にすること。