地域資源に価値をつける
漁協の取り組み

 ヴェントゥーノと糸島漁協との取り決めはこうだ。

 ヴェントゥーノは糸島漁協から継続的にメカブ(ワカメの根っこ)を購入し化粧品や健康食品を製作・販売する。

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 メカブには「フコイダン」(コンブやワカメ、モズクといった海藻類の粘質物に多く含まれる食物繊維)が豊富に含まれている。報告されている効用としては、免疫力を高めるほかに「コレステロール低下」「血圧低下」「抗ウイルス作用」などさまざまだ。

 そのメカブをヴェントゥーノが購入することで漁師の収入安定に寄与し、ひいては漁師のなり手を増やすことにも一役買う可能性がある。もちろん、ワカメの増殖は藻場を増やして磯焼けの拡大防止にも貢献することになる。

 両者の協業には、糸島市がハブ役となった。協定締結前から、糸島市はヴェントゥーノと地元資源を活用した商品開発を含めて議論を進め、連携を深めていたという。その中で、糸島産海産物を使用した商品開発ができないかと糸島漁協とマッチングしたところ、ヴェントゥーノから「糸島市の地域活性化に貢献したい、糸島市の豊かな恵みから生まれた素材を積極的に活用したい」という熱意が届き、最終的に協定締結へと結び付いた。

 未活用状態の地域資源(当時メカブは廃棄対象だった)に環境価値を付けることにより、漁業者のメリットにもなるのではないかという考えから始まったのである。