同じ内容なのに、伝え方で「イエス」になったり「ノー」になったり。いくつかのコツを知っているだけで誰もが、「イエス」をもらう可能性を上げることができます。学校で教わることがなかった「伝える」ということを、はたして鍛えることができるのか?それを著者が語っています。

なぜ、伝え方で結果が変わるのか?
例えば、勉強嫌いの子どもに勉強させるとき、どう言ったらいいでしょう?

佐々木圭一(ささき・けいいち)コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年博報堂に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6カ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。写真/賀地マコト

 子どもを持つすべてのお父さんお母さんに耳寄りな方法です。「勉強しなさい」と言っても、子どもは勉強しないですよね。子どもは素直です。やりたくないことは、やらない。それで頭を悩ませているご両親も多いことでしょう。それなら、やりたいと思わせるよう伝えればいいのです。子どもが勉強をしてしまう、魔法のコトバがあります。

 「いっしょに勉強しよう」

 です。これは「チームワーク化」を使ったお願いのしかたです。それまで勉強しなさいと言っても、そうは勉強をしなかった子ども。自分の部屋に行ったとしても、マンガを読んでいるかもしれません。実際、私の友人も子どもが勉強しなくて困っていました。何度、

「勉強しなさい」

 と言っても、いっこうに改善する気配がなかったのです。それが、

「いっしょに勉強しよう」

 と言い、居間で子どもが勉強している間、じぶんは好きな本を読むようにしたら、子どもが隣で黙々と勉強をするようになりました。人は本能的に、誰かといっしょに何かをやりたいのです。それは太古の時代から人間が生き延びてきた知恵です。誰かが狩りをするときは、協力していっしょに行い、木の実を集めるときも、外敵に襲われないよういっしょに行った。その記憶が私たちの奥底にあるのです。
 ただ、これは自分も動くことが前提です。動くといっても、子どもといっしょに同じ机で真剣に何か好きなことをすればいいのです。