アウディらしさが
フルに味わえるモデル
一充電当たりのWLTCモード航続距離は、55が従来比+78kmの501km、50は同+89kmの424km。航続距離の延長は、「バッテリー容量の増加とともに、空力性能やモーターの効率向上がもたらした」と説明された。
試乗車は、Q8スポーツバックe-tron。後席の居住性や荷室の広さを十分に確保した上で流麗なフォルムを実現した、アウディらしさがフルに味わえるモデルだ。
走りの印象は、すっきりスムーズ。今回の改良で、ステアリングギア比が15.8から14.6へとクイックにされるとともに、より剛性の高いアクスルラテラルコントロールアームブッシュを採用。シャシーコントロールは、ESCおよびブレーキ制御、電動シャシープラットフォーム、アダプティブエアサスペンション、ステアリングなど一連のチューニングが変更された。その効果は明確だった。
従来のe-tronを試乗したときも高い完成度に感銘を受けたが、Q8は走りの洗練度にさらに磨きがかかった。最も変わったのはステアリングフィールだ。クルマとの一体感が増し、身のこなしが軽やかに感じる。一段と気持ちよく走れるようになった。足回りもよく動いて路面からの入力による衝撃が伝わりにくくなっていた。
それでいて、2.6トンの車両重量を感じさせないようにしているわけではない。ある程度の重さ感を残すことで、クルマの挙動を把握しやすくしている。そのさじ加減は絶妙。おそらくシステムが4輪の駆動力を極めて緻密に制御しているのだろう。操縦安定性は極めて高く、自然な感覚でとても乗りやすい。しかも加減速のフィーリングはより滑らかになり、加速はいっそう伸びやかになっていた。変わったのは名前だけではない。むしろ中身の進化が明瞭である。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)