「集団ストーカー」「思考盗聴」…怪しげな文言

メルカリで「ただのアルミホイル」が8000円で売られる怪しすぎるワケメルカリに8000円で出品されていたアルミホイル

 市場の原理を考えれば、おそらく購入者は、金額に見合った価値を見いだしているはずだ。アルミホイルそのものの定価に加え、なんらかの「付加価値」をまとっているのでは……と調べてみると、一連の商品ページに「集団ストーカー」「思考盗聴」「電磁波攻撃」といった文言が書かれていることに気付いた。

メルカリで「ただのアルミホイル」が8000円で売られる怪しすぎるワケ商品説明の欄には「電磁波対策」「思考盗聴防止」などと記載されていた(メルカリより)

 このようなフレーズは、ネット上では陰謀論とからめて紹介されがちだ。多くは「なんらかの意図を持つ組織や人物から監視されている」と感じ、みずからの考えを読み取られないように対策を講じる。一般的に被害が知られていないのは、「公的機関や権力者に隠蔽されているからだ」として、ひとりでも多くの人が「真実」に気付くよう啓発する。

メルカリで「ただのアルミホイル」が8000円で売られる怪しすぎるワケメルカリで1699円で販売されていたアルミ片

 そうした「被害」の防止策として、アルミホイルが用いられているようだ。先ほどの使いかけの箱入り商品にも、帽子を作ったとの説明が添えられていた。ここで「真実」の有無を語るつもりはないが、なかには「体が軽くなった」といった体験談が添えられている出品物もあり、薬機法や景品表示法などに抵触する可能性が考えられる。

 振り返れば、コロナ禍でも「ワクチンを打つと、5G電波を受信する身体になる」といった誤情報が話題になっていた。先日発生した能登半島地震においても「あれは意図的に発生させた人工地震だ」というデマが散見される。

メルカリで「ただのアルミホイル」が8000円で売られる怪しすぎるワケ「ポカポカと温かくなる」「電磁波遮断効果」「集団ストーカー対策」「ワクチン打たれて体調悪くなった方も是非」といった記述も(メルカリより)

 こうした考えが支持される背景には、当然ながら理由がある。事実が存在しないと示すことは、「悪魔の証明」と呼ばれる。存在は一例でもあれば証拠となるが、なかなか「ない証拠」は集めにくい。そこへ来て、世間の先行きは不透明。心にスキマ風が吹くなか、より所として期待してしまうのかもしれない。

 でも、だからこそ、いったん立ち止まって、価値を見定める必要がある。その「衝動買い」は、思わぬ代償を払うかもしれないのだ。