与党続投となった民進党に
突き付けられた重い事実
選挙イヤーといえる2024年。その幕開けとして、1月13日、台湾で総統選が行われた。日本の国会議員に相当する立法委員を選出する選挙も同時に行われた。選挙前に配信した本連載のコラムでは、「台湾総統選を読み解く8つのポイント」を取り上げた。今回のコラムでは、当日の選挙の結果を受けて、これら8つのポイントが実際にどうだったのか、今後の見通しはどうなるのか、について検証していきたい。
ポイント1:総統&立法委員の「ダブル選挙」であるという事実
先日の記事では、総統だけでなく立法委員を巡る選挙も4年に1回、113議席すべてが改選される、故にこの「ダブル選挙」という視点で台湾の選挙を眺める必要がある、という点を強調したが、まさにそういう視点が重要だったと痛感させられる結果となった。今回の選挙を経て、台湾の政治は従来以上に迷走する可能性が高くなったといえる。
ポイント2:民進党続投か、政権交代か
総統選の結果は、民進党候補の頼清徳氏が辛勝。1996年に直接選挙が導入されて以来、初めて特定の政党が3期連続で政権与党を担うことになった。多くの代償や犠牲を伴う形で、必死の思いとプロセスを経て民主化を遂げた台湾の有権者たちは、特定の政党が長期にわたって政権の座に居座ることに敏感であり、それが2000年以降、毎回の2期8年の政権交代につながってきたと、筆者自身は考えている。
そんな中で、今回、その慣例が打破された歴史的意義は小さくない。台湾政治を巡る構造的変化を体現しているとみるべきだ。