総統&立法委員の「ダブル選挙」
国民党による番狂わせはあるか
今週土曜日(1月13日)、お隣の台湾で4年に1度の総統&立法委員ダブル選挙が行われる。近年、日本でも危機感を持って注目されている「台湾有事」を巡る動向を占う上でも極めて重要な政治イベントだといえる。本稿では、同選挙で注目すべきと筆者が現時点で考える8つのポイントを提起し、展望してみたい。
ポイント1:総統&立法委員の「ダブル選挙」であるという事実
「台湾総統選」の5文字が独り歩きすることが往々にしてあるが、実際は、日本の国会議員に相当する立法委員を選出する選挙も同時に開催されるという事実が重要である。台湾の議会は一院制で、定員113人、任期4年。総統選と同時に開催される4年に1度の選挙で全ての議員が改選される。
選挙前の最後の週末にも、各総統候補者は台湾各地を回って「造勢晩会」と呼ばれるキャンペーンイベントに奔走していたが、会場にはそれぞれの選挙区における立法委員立候補者たちも出席し、総統候補、委員候補が互いに有権者たちへの支持を呼び掛けていた。
要するに、同時に行われる総統選挙と立法委員選挙は密接に影響し合い、これからの4年を占う上での政局を左右し得るということである。「ダブル選挙」という視点で見ることが重要なゆえんである。
ポイント2:民進党続投か、政権交代か
約1カ月前に掲載したコラム「2024年に「台湾有事」リスク急上昇の恐れ、“トランプ再選”なら何が起きる?」でも問題提起したが、台湾では1996年に初めて直接選挙が行われ、国民党の李登輝氏が当選した。その後、2期8年ごとに、民進党(陳水扁総統)、国民党(馬英九総統)、民進党(蔡英文総統)と政権交代してきた歴史的経緯がある。
この慣例に基づけば、今回も国民党に政権交代し、同党立候補者である侯友宜氏が新総統に就任することになるが、実際はどうなるのか。台湾では2024年1月3日で世論調査の結果発表が禁止されたが、その直前までの動向を見ると、主要メディア・機関による全ての調査で民進党の頼清徳氏がリードしている。
仮に頼氏が選挙に勝利すれば、従来の慣例は崩れ、台湾政治は新たな局面を迎えることになろう。あるいは、それを阻止すべく、国民党による最後の番狂わせはあるのか。注目したい。