中国の選挙介入より「漁夫の利」の勝利
米中間で「一時休戦」の黙約
ロシアや米国の大統領選など、その結果が国際情勢に影響を及ぼす選挙がめじろ押しの選挙イヤーの先陣を切って1月13日に行われた台湾総統選挙は、民主進歩党(民進党)の頼清徳候補(副総統)が国民党、民衆党の追い上げを振り切って勝利した。
勝因は野党分裂に乗じた「漁夫の利」であり、加えて立法院(国会に相当)では民進党は過半数割れをし、頼新政権は少数与党という不安定政権になる。
頼氏を「独立派」として、野党へ肩入れするような選挙介入をした中国は、そこに付け込んで今後も、新政権をさまざまな手で揺さぶると考えられる。
だが、日本で声高に語られる「武力行使」はしないだろう。習近平体制にとっては、リスクの高すぎる自殺行為であり、米中間でも昨年秋の首脳会談で台湾問題については「一時休戦」の“黙約”ができているからだ。
日本政府はこの「変化」を見誤ってはならない。