写真:中国の習近平国家主席中国の習近平国家主席 Photo:Kent Nishimura/gettyimages

台湾総統選まで残り1カ月
最後の最後までもつれるもよう

 台湾総統、立法委員選挙が年明け、1月13日に投開票される。台湾海峡の今後を占う上で極めて重要な政治イベントであり、日本を取り巻く地政学的情勢への影響も必至である。

 台湾では1996年に初めて直接選挙による総統選が行われ、中国国民党(以下「国民党」)の李登輝主席が総統に選出され、2000年まで務めた(李登輝は直接選挙前の1988年、前任者の蒋経国の死去に伴い副総統から総統へ昇格、直接選挙をまたいで計12年以上務めた)。

 その後、2000年から2008年までは民主進歩党(以下「民進党」)の陳水扁が2期8年、続いて2008年から2016年まで国民党の馬英九が2期8年務め、2016年から現在に至るまでは民進党の蔡英文が来年5月まで、2期8年を全うする見込みである。

 要するに、台湾が民主化し、政治に直接選挙が導入されて以来、国民党→民進党→国民党→民進党と、政党政治のお手本といえるような政権交代が2期8年のタイミングで起こってきたのである。

 今回はどうなるか。

「セオリー通り」にいけば、今回は国民党になるはずである。逆に、民進党が勝てば、台湾民主政治における政党政治は従来の慣例を破り、新たな時代の幕開けといえるような段階に突入していくことになる。

 実際、今年の夏頃までは、台湾の各世論調査では民進党の頼清徳候補が独走する状態にあり、このままいけば、民進党続投で間違いないだろうという様相を呈していた。だが、最終的に不発に終わったとはいうものの、第2、3の野党である国民党の侯友宜候補、民衆党の柯文哲候補による「野党候補一本化」(藍白合)にメディアや有権者の関心が集まる中、民進党の支持率は下がっていった。

 11月24日までに、3つの党は副総統候補を伴う形で総統選への立候補を届け出た。台湾メディア「美麗島」が12月9日に発表した最新の世論調査によれば、総統選に向けた支持率は、民進党の「頼清徳・蕭美琴組」が37.8%、国民党の「侯友宜・趙少康組」が32.6%、民衆党の「柯文哲・呉欣盈組」が17.3%という結果であった。

 民進党と国民党の一騎打ちという様相を呈しているが、浮動票も一定程度存在するが故に、第3の党である民衆党がどこまで健闘するかも、選挙動向に影響を与えるものと思われる。

 投開票まで残り1カ月、鍵を握るのはスキャンダル。それ次第で、5%程度の差は簡単にひっくり返るだろう。2020年の前回選挙で、蔡英文率いる民進党が大勝したのとは対照的に、今回は最後の最後までもつれるのではないかと思われる。