塩分の摂り過ぎが血圧を上昇させることはよく知られているが、2型糖尿病の発症リスクにもなるようだ。
米チューレーン大学の研究グループは、英国住民を対象とした疫学研究「UKバイオバンク」に登録した40万2982人のデータを使い、普段の食事に「塩を追加する(特に食卓で)」頻度と2型糖尿病(T2D)発症との関連を調査。
というのも「ちょっと味が薄いな」と塩を追加する行動は、長期的な塩分過多と相関するからだ。
本調査ではまず、「食べる前に塩を加えるか」について(1)全く加えない/まれに加える、(2)時折加える、(3)だいたい加える、(4)常に加える、(5)回答しない、の五つから答えを選択。(5)については後に分析から除外された。
このほか、持病や体格指数(BMI)、過去5年の間に病気などの理由で食習慣を大きく変えたことがあるかを質問している。
登録から11.9年(中央値)の追跡期間中、1万3120人がT2Dを発症。(1)の塩を全く加えない/まれに群(55.5%)を1とすると、(2)時折群(28.1%)のT2D発症リスクは1.11倍、(3)だいたい群(11.6%)は1.18倍、(4)常に群(4.8%)では1.28倍と塩を追加する頻度が増えるほど、T2D発症リスクが上昇することが明らかになった。
また、高BMI、内臓脂肪型肥満、体内に何らかの炎症があることを示す指標が陽性である場合は、塩分過多の影響が大きいことも示されている。
研究者は「塩分制限でT2D発症リスクを抑えられるか否かの研究が必要」としたうえで、現時点では「減塩生活を心がけるに越したことはない」としている。
塩分に直接、血糖を上げる作用はないが、濃い味の食事はT2Dを引き起こす肥満につながりやすい。スウェーデンの研究でも、食塩の摂取量が2.5グラム増えると、T2D発症リスクが65%上昇すると判明している。
今年は久々の帰省で濃いめの味を堪能し「正月太り」の方も多いだろう。普段の食生活に戻りつつ、減塩&減量を心がけていこう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)