右折時に対向車が
「道を譲ってくれたとき」こそ要注意!

 もうひとつ、対向車線側が渋滞している状況下で気を付けたいのが、自車が右折しようとしている際に、対向車が道を譲ってくれたときです。「譲ってくれたから」と確認もせずに急いで右折してしまうと、対向車の横をすり抜けてくるバイクや自転車と接触してしまう「右直事故」が起こる可能性があるのです。

 右折車は、対向直進車や対向左折車の進行を妨げてはいけません。事故となった場合は、右折する側の過失が大きく問われます。久々の運転で対向車線が渋滞しているときは、「クルマの陰にいるバイクや自転車が直進してくるかもしれない」と考え、慎重に右折するようにしてください。

 右折だけでなく左折にも当てはまりますが、その他の「初心者要注意」のシチュエーションは、道路沿いの駐車場・商業施設・レストランなどに入るために方向を転換するケースです。歩道を横断してから目的とする施設(またはその駐車場)に入ることになりますが、その際は「歩道に差し掛かる手前」で一時停止をしなければなりません。

 道路交通法第17条2項で「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と規定されているためです。このことも、久しぶりの運転の際は忘れないようにしたいものです。

安全運転を心がければ
お財布にもいいことばかり!?

 ほかにも、朝日や夕日のまぶしさで前方がよく見えなかったり、大型車の後ろを走っている際に、その陰に隠れて信号を見落としてしまったりと、運転の経験が不足しているがゆえの「ヒヤリハット」に遭遇することもあるでしょう。

 ただ筆者は「運転が怖い」と感じている初心者のほうが、「自分は運転が得意」だと油断している自称上級者よりも、運転に向いているのではないかと思います。運転操作を軽く考え、漫然と運転をして注意を怠っているドライバーのほうが、むしろ事故を招きかねないのではないでしょうか。

 たとえ経験が不足していても、「この先何が起こるか」を丁寧に予測しながら、適切な速度で運転をすれば、無事故だけでなく低燃費にもつながります。事故を起こさなければクルマを修理するお金もかかりません。また、運転再開後もゴールド免許を維持できれば任意保険が安くなり、等級も上がって、さらに出費を抑えられます。

 運転を敬遠する人の言い分として「お金がかかる」というものがあります。それも一理ありますが、安全運転をすれば上記の通り、お財布にもいいことばかりです。

 どんなベテランドライバーも、必ず初心者を経験してから「熟練の域」にたどり着いています。そして街を走るクルマのドライバーは、全員が運転のうまい人ばかりではありません。不安なのは、あなただけではないのです。

 最初は怖いかもしれませんが、自身が安全運転をしていれば大丈夫です。せっかくとった運転免許を有効活用して、ぜひカーライフを思い切り楽しんでほしいと思います。

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