クルマのハンドル、持ち方は「10時10分」がベストじゃない!教習所の“常識”が変わった理由ハンドルの持ち方は「10時10分」だけでなく、他の持ち方も「正解」とされている(撮影・画像提供:吉川賢一)

「ハンドルの10時10分の位置を握りましょう」。自動車教習所でそう教わった人は多いはずです。しかし昨今は10時10分だけでなく、他の持ち方も「正解」とされています。なぜ常識が変わったのでしょうか。自動車ジャーナリストの筆者が、自らハンドルを握り変えつつドライブした結果を基に、その理由を徹底考察します。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

「ハンドルの持ち方」の常識が変化
「10時10分から9時15分の間」でOK

「10時10分の位置を握ると、力を入れて回しやすい」――。クルマのハンドルを握る位置に関して、以前はこのような考え方が常識とされてきました。

 言わずもがなですが、10時10分とはハンドルをアナログ時計に見立て、「10時」に左手、「10分」に右手を置く握り方を指します。現在40代の筆者が18歳で免許を取った際も、自動車教習所ではそう教えられたものです。

 ですが昨今の自動車教習所の多くは、ハンドルを握る位置を「10時10分から9時15分の間」にするように教えています。この範囲内であれば、運転初心者でも位置を自由に調節してよいと、常識が変わってきているのです。

 実際に、自動車教習所が運営するYouTubeチャンネルの「ハンドルの握り方」に関する動画を数本見てみると、どれもおおむね「10時10分から9時15分の間」と説明していました。

 ハンドルの握り方の常識はなぜ変化したのでしょうか。自動車メーカーで開発エンジニアを務めた経験を持つ筆者が、「10時10分」と「9時15分」でハンドルを握り変えながら運転した結果を基に、その理由を徹底考察します。