米国では2022年と23年、労働力人口から外れていた多くの人が復帰し、人手不足を和らげ、賃金上昇率に下押し圧力をもたらしたことが、米連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレ抑制を後押しした。労働供給がここからさらに大きく増えるのは難しいかもしれない。これは問題だ。なぜなら、昨年に大きく減速したとはいえ、インフレ率はFRBの目標値2%を上回ったままであり、FRB幹部らはインフレ減速が続いているのを確認してから引き締め的な政策姿勢を緩めたいと考えているからだ。インフレが鈍化した一因は経済の供給サイドの改善にある。サプライチェーン(供給網)は新型コロナウイルス禍に伴う混乱の解消が進んでおり、企業にとって採用可能な労働者の数も増えた。その結果、インフレの減速には大きな経済コストが伴うとの予測に反して、経済は急成長を遂げた。消費者需要が持ちこたえ、企業が雇用を増やしたためだ。