「お金を増やす方法」を伝授する本やセミナーはたくさんあるが、「お金を維持する方法」を教えてくれるものはあまり多くない。そのためか、一度は成功を手にしつつも資産管理に失敗し、裕福さを保てなかったざんねんな事例が後を絶たない。
今回は、世界的ベストセラーの邦訳版で、「ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本」「読んだら人生変わった」と絶賛されている『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』から一部を抜粋・編集して、お金を「維持する」ために必要なものを明かす。
裕福さを保つ「たった1つの方法」
裕福になる方法は無数にある。そのための本も数え切れないほど出ている。だが、裕福さを保つ方法は1つしかない。それは、倹約と心配性の組み合わせだ。
株式市場に上場した企業の4割は、時間の経過と共に衰退していく。フォーブス誌が選出する「米国の大富豪400人」のリストも、死や家族への相続以外の原因で、10年ごとに約2割も入れ替わっている。
なぜそのようなことが起きるのか? もちろん資本主義の世界が厳しいというのもあるが、それよりも大きな要因は、お金を「得ること」と「維持すること」とでは、まったく別物のスキルが求められるからである。
お金を維持するには「謙虚さ」が必要
お金を得るためには、リスクを取る必要がある。楽観的になり、大胆な行動を起こさなければならない。しかし、お金を維持するには、それとは正反対のことが必要だ。
まず、謙虚にならなければならない。築いた資産があっという間になくなるかもしれないという緊張感を忘れず、倹約に努める必要がある。自分が稼いだお金の一部は運によるものであり、過去の成功が永遠に繰り返されるとは限らないことを受け入れなければならない。
「極度の心配性」でないとビジネスの世界で生き残れない
ベンチャーキャピタルとしては珍しく、40年にわたって繁栄し続けるセコイア・キャピタル社のマイケル・モリッツも、テレビ番組でその成功理由を尋ねられ、こう答えている。
司会者「つまり“恐れ”が成功の秘訣だと? 極度の心配性でなければビジネスの世界では生き残れないということですか?」
モリッツ「まさにその通りだ。(中略)我々は、明日は昨日と同じではないと思っている。成功を手にしたからといって、安穏としているべきではない。慢心は禁物だ」
モリッツは、「サバイバル(生き延びること)」が重要だと語っている。「成長」でも「頭脳」でも「洞察力」でもない。長期間、息絶えることなく、市場から退場させられることもなく、あきらめずに頑張れるかどうか――。
それが大きな違いを生むのだ。これは投資であれ、キャリアであれ、経営であれ、戦略の礎となるべきものだ。
(本稿は、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』の一部を抜粋・編集したものです)