仕事に対する不満を抱える米国の労働者が増えているものの、新たな道に踏み出すことは現在の労働市場ではますます難しくなっている。米国ではここ数年、豊富な求人や、人材確保を急ぐ企業が示す大幅な給与アップに刺激されて数百万人の労働者が転職した。ホワイトカラー正社員の転職市場はやがて下降線をたどったものの、新たな職を見つけようという労働者の意欲はそうならなかった。ビジネス向け交流サイト、リンクトインの新たな調査では、調査対象となった米国の職業人1000人のうち、およそ85%が今年は転職を考えていると答えた。1年前はこの割合は67%だった。仕事への愚痴を口にするだけではなく、実際に職探しをしている労働者は、以前のように市場で有利な立場には立っていないことに気づかされている。求人情報サイトのデータが示すのは、企業が採用候補者に示す給与や柔軟性が1、2年前よりも低くなっていることだ。また、有給休暇日数の上乗せといった福利厚生を巡る交渉でも、企業側は譲歩しなくなっていると求職者は話す。