中国の習近平国家主席が昨夏、突如解任された秦剛外相の後任を探していた際、ある人物の名前が候補者リストのトップに挙げられた。事情に詳しい人々が明らかにした。その人物、劉建超氏は多くの点で異例の候補者だった。翻訳者から転じて外交官になった劉氏は今、中国共産党で北朝鮮やベトナムといった他の共産主義国家との関係を構築する任務を伝統的に負ってきた機関のトップを務めている。多くの歴代外相と比べると、米国での経験は限られている。党の汚職監視機関に在籍した経験も、中国の外交政策当局者の中では珍しい。しかし複数の関係者によると、外交を担当する高官たちが劉氏を習氏に強く推奨した理由はまさに、党での経験や確かな政治的忠誠だった。こうした特質は、党による統制強化や安全保障重視の時期にあって、習氏が特に高く評価しているものだという。