パレスチナ自治区ガザでは戦闘が3カ月以上続くが、ガザ市在住のサミール・ムハンマドさんは最近、紛争発生後初めて小麦粉を一袋手に入れた。彼の息子が死に物狂いになる何百人もの他のパレスチナ人を振り切り、支援物資を積んだトラックの荷台からその袋をつかみ取ったのだ。「トラックが到着すると、人々は襲いかかり、何でもいいから奪おうとした」。ムハンマドさん(通称アブ・サミさん)はこう話し、混乱の原因は治安悪化と警官の不在にあると指摘した。「人道支援物資を取りに行くのは非常に危険だ。住民はナイフを携行し、小麦粉欲しさに互いを攻撃することもある」戦争が長引く中、ガザ地区のすでに絶望的な人道的状況はさらに悪化し、カオスと化している。そこで暮らす人々や彼らを助けようとする支援団体はそう語る。悪化を加速させているのは、ガザ地区や周辺地域への食料の搬入が滞っていることと、支援物資の配布場所と重なり合う戦場の存在だ。この組み合わせが、戦争のせいで支援に頼らざるを得ない住民のさらに多くを最悪と言える飢えに追いやり、極度の飢餓状態に至る場合もある。