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トヨタグループで相次ぐ試験不正。一連の問題を受けて、トヨタ自動車の豊田章男会長が責任者として謝罪した。しかし、「不正は全部トヨタ自動車のせいだ!」といった通り一遍のメディアの論調は、ちょっと違うのでは?と私は思う。渋沢栄一『論語と算盤』から学ぶ問題の本質とは。(未来調達研究所 坂口孝則)

「全部トヨタ自動車のせいだ!」でいいのか?

 トヨタグループで、エンジンの認証試験に関する不正が相次いでいる。2022年に日野自動車、23年にダイハツ工業で検査不正が発覚。ダイハツは長期かつ大量の不正が判明したことで国内4工場の生産停止に追い込まれ、サプライヤーや販売店にも甚大な影響を及ぼした。

 年が明けて1月、今度は豊田自動織機が不正の報告書を公表した。すでに判明していたフォークリフト用だけではなく、自動車用のエンジンでも複数の不正が確認されたという。一連の問題を受けて1月30日、親会社であるトヨタ自動車の豊田章男会長が記者会見を開催。トヨタグループの責任者として3社の不正について謝罪した。

 これを受けて、「トヨタ自動車に全責任がある」とする論調が目立っている。確かに豊田自動織機は、デンソーやアイシン精機と並んで「トヨタご三家」とも称され、トヨタグループの主要サプライヤーであることに間違いない。豊田自動織機にとってトヨタ自動車は25%程度の株式を保有する筆頭株主であり、トヨタ自動車への売上比率は36.2%に上る。しかし、「不正は全部、トヨタ自動車のせいだ!」といった通り一遍のメディアの論調は、ちょっと違うのでは?と私は思う。

「大企業はどうせ悪さばっかりする」「権力を振りかざしている」などと、トヨタ自動車を批判するのは簡単だし、実際にSNS上ではそうした意見があふれている。しかし、それだけでは問題の解決にはならない。トヨタ自動車に全責任をなすり付ける前に、豊田自動織機自体の問題の本質を探るべきだと私は思う。ガバナンスなど組織的構造を分析したほうが価値はあるだろう。