トヨタの「鎮火」に協力?大人しすぎる報道のワケとは
「あれ?なんだかダイハツに比べるとずいぶん優しいんじゃない?」
豊田自動織機が生産するディーゼルエンジンで検査不正が確認されたことを受けて、トヨタ自動車はランドクルーザーやハイエースなど10車種を出荷停止、国内4工場、6つの生産ラインを稼働停止するという。この発表を受けたマスコミ報道に首を傾げた人も多いのではないか。
ちょっと前に、朝から晩までボロカスに吊し上げられたダイハツの不正に比べると、メディアのトーンがかなりマイルドというか、明らかにトヨタに一定の配慮をしているように感じられるからだ。
わかりやすいのは、会見直後の報道である。23年12月20日、ダイハツの奥平総一郎社長が記者会見を催して不正について説明、謝罪をしたところマスコミ各社はビッグモーターの再来かというほど厳しく糾弾をした。
《不正発覚のダイハツは解体的出直しを》(日本経済新聞23年12月21日)
《ダイハツ不正「あり得ぬ」 利用者、驚きと憤り 出荷停止》(毎日新聞 12月21日)
《「まさにブラック企業」ダイハツ不正問題、第三者委報告書に激震『で?』『なんでそんな失敗したの』具体例見て「今のうちの会社…」と震え上がる声も》(中日スポーツ 23年12月21日)
しかし、今回の不正について豊田章男会長が会見をした翌日の各社のトーンは、以下のように二重人格なのかと疑うほどの豹変ぶりだ。
《トヨタ会長自ら「グループを見る」相次ぐ不正を謝罪 「絶対にやってはいけないことをやってしまった」》(カンテレ 24年1月30日)
《トヨタ、グループ17社に責任者 不正問題受け新設》(日本経済新聞24年1月31日)
ダイハツの時のようなユーザーやネットの怒りを引用する記事は少なく、トヨタ側の再発防止策も大きく取り上げており、疑り深い見方をすれば、一緒になって「鎮火」に協力しているようにさえ感じる。
そんな「トヨタ忖度」が特に強く感じられるのが、テレビや新聞という「マスコミ」だ。今回の不正でやたらと「問われる」報道が多いからだ。