人が言えていないことを
聞き出すことがコミュニケーション

 対して、まわりから話しかけられやすい人は「聞くこと」からコミュニケーションをはじめます。

 先ほどの転職の相談の例で言うと「どうして転職しようと思ったの?」「どんなことで悩んでいるの?」とまずは相手の話をしっかりと聞くことからはじめるのです。そのうえで、先ほどのように「転職したいならしてもいいと思う」と伝えます。

 ここで前提になっているのが、人は「言いたいことを意外と言えていない」ということです。皆さんにも経験があるかもしれませんが、人に相談などをする場合に、伝えたいことを完璧に伝えるのは難しいものです。全部話そうとすると長くなってしまい、短く伝えると言いたいことが言えない。そんなジレンマを誰もが抱えています。

 ですから、「転職しようかと思ってて...」というのも、相談としては成立しているものの、相手はまだ必要最低限のことしか言えていない場合が多いのです。

 まずはその前提に立って、相手の話を聞くことで、お互いに気持ちのいいコミュニケーションが取れるでしょう。

 私のいるお笑いの世界でも、まわりから頼られる人と避けられる人の差は非常に大きく、楽屋などを見ているとよくわかります。結局、話しかけられやすい人は、「この人はいつもちゃんと話を聞いてくれる」とまわりに安心感を与えており、楽屋に優しい空気が流れます。

 ちょっとした意識で実践できることですので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。