部下に「分からないときは質問して」はNG!では、何て言い換える?写真はイメージです Photo:PIXTA

Z世代は察することに長けておらず、時間や費用対効果、効率を重視するコスト&タイムパフォーマンス思考で生きている。そんな彼らにスムーズに動いてもらうために必要なものは、具体性と明確さに尽きる。人材育成のプロが、そのコツを伝授する。※本稿は、北 宏志『新しい教え方の教科書 Z世代の部下を持ったら読む本』(ぱる出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「○○のときは声をかけて」と
具体的なアクションを指定すべし

 Z世代の若者たちに動いてもらうためのコツをお教えしたいと思います。まずは令和式の声かけから始めましょう。

 皆さんは部下への指示出しの最後に、こんな言葉をかけていませんか?

「もしも分からないときは質問して」。

 このフレーズだけ見れば、特に大きな問題はないように思えますが、実は令和式では、これはNG!

 その理由はとてもシンプルです。実は多くの部下は、“分かっていないかどうか、分からない”状態に陥っている可能性があります。それなのに「分からないときは」と言われても、今自分が分からないときなのかどうか判断ができません。

 そして畳みかけるように「質問して」。これもなかなかハードルが高い言葉です。質問をするためには、上司に何を聞きたいのか、自分で分かっている必要があります。

 仕事を覚え始めたばかりのZ世代部下に「分からないときは質問して」と言っても、何が分からないのか分からず、何を聞けば良いのかも分からないという混乱を招くだけ。結果的に部下は何の行動も起こせず、マネジメント層が気付いて指摘するまで、誤った状態を継続してしまうことになります。

 では、どんな声かけが正解なのか。

 それが「〇○のときは必ず声をかけて」です。

「計算の結果に間違いがあると感じたときは必ず声をかけて」「電話の相手が言っていることが理解できていないときは声をかけて」……このように、具体的なアクションが発生した場合、必ず上司に声をかけるよう、伝えてあげてください。

 Z世代の若者たちは察することに長けていません。さらに、時間や費用対効果、効率を重視するコストパフォーマンス、タイムパフォーマンス重視世代。だからこそ、具体的なアクションを指定することで、彼らが無駄に考えたり、悩んだりする時間をつくらず、マネジメント側も異変に気付きやすい環境をつくることができる、この声かけが有用なのです。

Z世代が抱きがちな不満
「言われた通りやっているのに怒られる」

 さて、日頃、私はさまざまな企業のマネジメント層と若手社員と話をする機会があります。“今どきの若者”と呼ばれることの多い社員たちは「少し指導をすると辞めてしまう」「仕事のやり方がなっていない」など、上司にとって悩みの種になっています。

 一方、Z世代の若者たちは「上司の言っていることの意味が分からない」「言われた通りやっているのに怒られる」といった不満を抱えている場合がほとんどです。