米国は4年前、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」を率いるガセム・ソレイマニ司令官をドローン(無人機)攻撃で殺害した。同氏は恐らく中東で最も名の知れた軍事司令官として、ほとんどカルト的な人気を誇っていた。同部隊を中東の武装組織ネットワークの頂点に据え、20年余りにわたってイランの軍事的影響力をアラブ諸国全体に拡大してきた。同氏の葬儀には参列者が殺到し、群衆雪崩が起きて50人超が死亡した。ソレイマニ氏の後を引き継いだイスマイル・ガアニ司令官の人物像は全く異なり、控えめな裏交渉人といったところだ。同氏は今、この武装組織の寄せ集めを利用して、米国からの壊滅的な報復を招かずにイランの勢力圏を拡大するという、困難な新任務に直面している。