金利がここ40年で最も速いペースで上昇したにもかかわらず、なぜ米経済は驚くほど強じんなのか。これは単なる歴史的興味にとどまらない問題だ。この異例の強さをどう説明するかによって、何をすべきかが変わってくる。株を買うべきか、米政府の債務残高を懸念すべきか、それともリセッション(景気後退)を警戒すべきか。どれが正解か分からないことが、なぜ米連邦準備制度理事会(FRB)を含めて誰も、今起きていることを見極められずにいるのかを理解する助けになる。経済はなぜ、高金利の影響を受けていないように見えるのか。筆者の考えでは、説得力のある説明が三つある。1時間当たりの生産量で測定した民間部門の労働生産性は、FRBがやっと利上げに踏み切った2022年1-3月期以降、力強く伸び、23年末には新型コロナウイルス流行期のピークを上回った。ただこのピークは、ロックダウン(都市封鎖)下の経済のひずみによってできた数字だ。