「日本は対人関係を作るスキルを軽視」スタートアップ教育の欠点を早大・入山教授ら4人が大激論Photo:PIXTA

質、量ともに世界基準のスタートアップを日本で生み出すために何が必要なのか。何を変えていくべきなのか。昨年に引き続き、入山章栄・早稲田大学大学院経営管理研究科・早稲田大学ビジネススクール教授、加藤雅俊・関西学院大学経済学部教授・同アントレプレナーシップ研究センター長、清水和彦・フォースタートアップス取締役兼アクセラレーション本部長、牧兼充・早稲田大学ビジネススクール准教授の4氏が大学教授や研究者の観点からこの問題について議論した。その内容を2回にわたりお届けする。後編では、スタートアップ人を育成するために必要な教育、大企業とスタートアップの関わり方などについて議論してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

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日本の右向け右みたいな
教育を変えなければいけない

清水 牧さんは経済産業省の産業構造審議会のイノベーション小委員会(研究開発・イノベーション小委員会)のメンバーに入っています。これまでどういった議論がありましたか。

 オールジャパンという考え方に意味はないので脱却しましょうということが私の議論のスタートでした。

 海外からどれだけ資源を引っ張ってくるかということの重要さ、イノベーションは失敗が多いのに、経産省は政策を成功を前提に作っているが、そうではなく政策も失敗を繰り返してそのフィードバックをするグループを作ることが大切であること、地方の大学にいるスターサイエンティストをもっと活用していくべきであることなどについて提案しました。

清水 スターサイエンティストを生かしていく上での障害となっているものはありますか。

 日本のエコシステムの評価基準は投資額とか知財の数とか資産ベースにこだわりすぎていて、文化やマインドセットに重きを置いていません。文化やマインドセットを意識したランキングを作り、時系列に見てみるとかそういうデータを作成するところがスタートかなと思います。

加藤 入山さんが言っていた右向け右みたいな教育を変えていかなければいけないと私もずっと思っています。起業とかスタートアップ政策を超えた教育政策の問題ですが、短期的には変えていくことは難しいでしょうね。

入山 小中学校の教育の在り方を変えるように。スタートアップの人たちが運動を起こしてほしいです。

清水 私どもも大学の授業には出させていただいたりしていて大学は変わってきたと感じますが、その下の年代に問題があるということですね。

スタートアップを活性化させるためには日本の教育の在り方を変える必要があります。では、どう変えていき、どういった教育を重視すべきなのかについて次ページ以降、4人の識者が議論を深めていきます。