しかし、私が50代からの資産づくりや資産の保全のために外貨預金を選ぶかと尋ねられれば、答えはノーです。
まず、一般に銀行などで外貨預金をする場合、為替手数料が割高だという問題があります。円から外貨に換えるときに0.25~0.5%程度、外貨から円に換えるときにはまた0.25~0.5%程度もかかるのです。
円安への備えとして「円以外の通貨を持つ」という意味は見いだせるかもしれませんが、せっかく外貨を保有するなら、余計な手数料をかけることなく、高い運用利回りを目指せる他の金融商品を利用したほうがよいと思います。
「マンション投資」についても、ここで取り上げておきましょう。
不動産を所有して賃料を得るというのは、形のある物を自分の名義にできる安心感や「だまっていても定期的にお金が入る楽なやり方」といったイメージがあるのかもしれません。それこそ、「賃料収入があれば、老後に年金の足しにできるのではないか」と考える人もいそうです。
マンション投資でよく聞くのは、「頭金ゼロでも銀行からお金が借りられます」「借りたお金でマンションを買えば、賃借人探しや物件の管理はすべて業者がやります」「毎月15万円の賃料収入が得られます。毎月10万円ずつローンを返済すれば、残りが収入になります」といったセールストークです。
しかし、このようなセールストークに乗せられてマンション投資を始めれば、高い確率で痛い目を見ることになるでしょう。
朝倉智也 著
マンションの維持にかかる固定資産税や修繕積立金などが見積もられていなかったり、マンションに不具合が出れば、そのたびに修理費用がかかったりするというのはよくある話です。
また、これから10年、20年と賃貸していく間、ずっと借り手がいて、家賃収入が入り続けると考えるのは甘いかもしれません。借り手がつかなくなれば、ローンの返済だけが重くのしかかることになりかねません。
もちろん不動産投資も、よい物件を見抜く力や不動産管理の知識などを持ち、人任せにせずに真剣に取り組めば、リターンを上げることは可能かもしれません。しかし「片手間にできそう」といったイメージで安易に手を出すのは、まったくおすすめできません。