資産運用の相談写真はイメージです Photo:PIXTA

50代から始める資産作りには何がよいか?外貨預金・マンション投資だけでなく、多くの人が考える株式投資も実は推奨できないと投資のプロは明かす。その理由とは?※本稿は、朝倉智也『投資のプロが明かす 私が50歳なら、こう増やす!』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

資産形成のツールにまったく
向かない金融商品とは?

 資産を守り増やすためには運用利回りを上げる必要があり、投資に取り組むことが必須です。では、いざ投資するとなった場合、どのような金融商品が望ましいのでしょうか?

 最初に「私なら選ばない金融商品」として挙げたいのは、FX(為替証拠金取引)です。FXは広告がたくさん出ていますし、為替相場の動きはニュースで知ることができるので、身近に感じて「やってみようか」と思う人も少なくないでしょう。

 しかし、資産形成のツールとしてFXはまったく向きません。それは、FXが「投資」ではなく「投機」だからです。

 ここでいう「投機」とは、「誰かが得をすれば、その裏で誰かが同じくらい損をする」取引のことです。為替取引では、Aさんが円を売って米ドルを買うときは、反対に米ドルを売って円を買うBさんがいます。つまり、AさんとBさんのどちらかが儲かれば、一方は損をし、AさんとBさんの損益を足し合わせれば、ゼロとなるわけです。

 このように「誰かの利益が誰かの損失になる」ものは、一般に「ゼロサム(合計がゼロ)」ゲームと呼ばれます。

 AさんとBさんはお互いの見通しの違いに賭けているだけの話で、「勝つか、負けるか」の世界ですから、私はできれば遠慮したいと思います。

 ちなみに「投機」は、参加者全体で見れば純粋な勝ち負けの世界ですが、参加者全体で見たときに負けが決まっているのが「ギャンブル」です。

「儲けが期待できる確率」という観点で分析すれば、ギャンブルは投機よりも確率が低いわけです。競馬や宝くじのように「寺銭」があるギャンブルは、参加者が得る利益よりも損失のほうが大きいので「マイナスサム(合計がマイナス)」のゲームと呼ばれます。

 もちろん、趣味で競馬や宝くじを楽しむのが悪いとは思いませんが、生活に影響のない範囲で「負ける確率が高いゲーム」としっかり理解したうえでやるべきでしょう。

プラスサムの株式投資ですら
50代にはおすすめできない

 日本では投資をギャンブルのようなものだと考える人が少なくありませんが、実はきちんと仕組みを理解していれば、投資とギャンブルはまったく別物であることがわかります。

 株式投資は、まさに「投資」です。たとえば、みなさんがある企業の株式を買った場合、その企業は投資してもらったお金を元手に、さらなる成長を目指します。設備投資をしたり、新規事業を始めたり、海外の企業を買収したりするわけです。