「出稼ぎワーホリ」で最低時給2200円!低賃金な日本を脱出して若者たち写真はイメージです Photo:PIXTA

かつてワーキングホリデーといえば、若者がモラトリアムを過ごす場のイメージだった。しかし現在は様変わりし、オーストラリアの賃金水準(最低時給が2200円!)の高さに惹かれた若者が海を渡っている。人手不足の日本を尻目に、その数、年間1万人。日本は、これをどう捉えるべきだろうか。※本稿は、上阪徹『安いニッポンからワーホリ! 最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋・編集したものです。

働きながら休日を過ごせる
ワーキングホリデー制度とは

 ワーキングホリデーとは何か。その名のごとく、働きながら休日を過ごせる、というものだが、当該政府がビザを発行してくれるのだ。本来は、文化交流を目的に、若い旅行者が長期休暇を取り、旅をしながら短期雇用で収入を得ることができる仕組み、である。

 始まったのは、1980年。オーストラリアとの間で最初に制度ができた。その後、対象国はどんどん拡大し、今は29カ国・地域になっている。

 短期間の旅ならいざしらず、数カ月など長期で休みを取って海外を旅するとなれば、まとまった資金が必要になる。もし、現地で働くことができれば、旅の資金にもなるし、現地の人たちとの交流も深められて一石二鳥、というわけである。

 もちろん、働かなければいけないわけではない。まったく、あるいは、ほとんど働かずにワーホリ期間を過ごすことも可能。

 私は50代だが、30年ほど前のワーホリといえば、このイメージだった。社会にまだ出たくない、お金に余裕のある若者たちがモラトリアム的に過ごす場所。あるいは、バックパッカーの猛者たちが活用しているケースもあったのかもしれない。

ワーキングホリデー人気国の主な制度内容同書より 拡大画像表示

 ワーホリの何よりのポイントは、若者に限定されている、ということだ。ビザの申請条件は、18歳から30歳まで。ただし、渡航時に31歳になっていることは問題ない。子どもの同伴はできない。

 そして各国ともに、ワーホリビザの活用は一度だけ。オーストラリアでワーホリを経験したら、もう一度、というわけにはいかない。ただし、再びワーホリでカナダに行ったり、ニュージーランドに行ったりすることは可能だ。

 日本人にとっては、長期の海外滞在といえば、習得のチャンスになるのが英会話。英語力を求めてワーホリに関心を持つ若者も少なくない。そこで、オーストラリアなら、1年間のワーホリで最長4カ月、英語が学べる語学学校に通うことができる。語学学校にはワーホリ以外も含め、それこそまさに世界中から学生が集まるため、多国籍な友達ができることも魅力だ。

 学校によっては、TOEICなどの試験対策や接客英語を学べるコース、バリスタやダイビングなどの英語プラスαを学べるプログラムを提供しているところもある。