オーストラリアは先に書いたように日本がワーホリ制度を導入した初めての国で、その歴史は40年以上になる。両国とも人数の制限はない。日本からはコロナ禍の時期を除くと、おおよそ年間1万人がワーホリでオーストラリアを訪れていた。

 カナダは6500人と人数を定めている。また、イギリスは1500人の定員制限に加え、抽選式で申請時期も限られているなど、国によって制度の概要は異なる。

オーストラリアの最低賃金は
主要英語圏内でトップクラス

 ワーホリの過ごし方は、まさにさまざまだ。英語を学びたい、友達をつくりたい、コミュニティに属したいと語学学校に通うところからスタートする若者もいれば、英語力には自信があるから、とすぐに旅を始める若者もいる。

 オーストラリアであれば、ずっとシドニーやメルボルンなど大都市で過ごすケースもあれば、ケアンズやパースなど観光地を巡ったり、リゾートで過ごしながら、あるいは地方の農場でアルバイトを続ける若者もいる。

 就くことができる仕事については、職種や業種に制限はない。持っているスキルや経験、さらには英語力でさまざまな仕事に挑戦できる。カフェやレストラン、バーなどの飲食業から、イベントスタッフ、ハウスキーパー、船の甲板員、建設作業員、受付などの事務やIT関連の仕事などなど。

 オーストラリアは日本人にとって人気のワーホリ先だが、それは受け入れ人数に上限がないことだけではない。日本と時差がほとんどないこと、多文化多民族国家で受け入れに寛容であることに加え、なんといっても就労の条件の良さがある。

 もとより世界最高の賃金水準を誇る国。ワーホリ制度を有する主要英語圏の中でもダントツだという。国が定めている最低賃金は、課税前の金額で時給23.23豪ドル(日本円で約2200円)。週給になると882.74豪ドル(同約8万円/38時間労働換算)にもなる。

 そればかりではない。働き方には、フルタイム、パートタイム、カジュアルの3種類があるが、カジュアルのような臨時雇用で国の最低賃金の対象となる場合には、賃金に25%以上の臨時雇用追加金を上乗せした金額を受け取ることができるのだ。

 また、これ以外でも極めて合理的な考え方が実践されているのが、オーストラリアの賃金体系である。端的に言えば、いわゆる正規雇用と非正規雇用を比べたとき、時給に換算すれば、非正規雇用のほうが高いのである。