国税庁によれば、日本人の平均年収は約458万円だという。それと比べ、実際のところ年収1000万円の世帯はどれくらい余裕のある暮らしができるのだろうか。そこで人気テレビアニメの「春日部在住・4人家族」がもし「年収1000万円」だったらどんな生活になるのか、試算してみた。※本稿は、加藤梨里『世帯年収1000万円 「勝ち組家庭」の残酷な真実』(新潮新書)の一部を抜粋・編集したものです。
大都市住民は所得が高いが
生活の基礎コストが高くつく
年収1000万円が裕福なのか、そうでもないのかは、住んでいる地域や年齢、家族構成によっても変わってきます。そもそも「豊か/貧しい」というのは曖昧な表現で、生活水準が同じでも自分の生活を豊かだと感じる人もいれば、貧しいと感じる人もいますが、世論調査によると、生活への満足度が高いのは大都市に住む人で、町や村に住む人は不満を感じる割合が高いというデータがあります。
その大きな理由のひとつと考えられるのが収入の地域差で、同調査では所得・収入に関する満足度も大都市ほど高く、小都市や町・村では不満が高い傾向も明らかになっています(内閣府「国民生活に関する世論調査」)。
しかし、だからといって単純に「都会の人はお金持ち」と判断するのは間違いです。所得中間層の手取り収入(可処分所得)と生活費を都道府県別に比べた国土交通省のデータによると、東京などの大都市は確かに可処分所得が高いものの、食費や住居費、水道光熱費などの基礎的なコストも高いのに加えて通勤事情が悪く、これらを差し引いた実質的な豊かさは東京都が全国で最下位であるとの結果もあります。
都会で暮らしていくには、収入が高くても支出も高いので、手元には思ったほどお金が残らない。それは郊外と東京で何度か引越しを経験している筆者の実感としてもそう思います。
また、年代や家族構成によっても家計の様相はかなり違ってきます。同じ年収でも一人暮らしか、家族を養わなければならないかで、お金のかかり方はまったく違います。一人暮らしは自分の収入で住居費から水道光熱費、食費まですべてをやりくりしなければなりませんが、自分さえ生きていければ事足りるという面もあります。
一方で家族と同居していれば住まいを共有できることで1人あたりの住居費や水道光熱費を多少抑えられる反面、食費や日用品費などは人数が多いほど膨らみます。
世帯年収1000万円の親子4人家族が
首都圏郊外の戸建てで生活した場合
暮らしの形によって豊かさの基準が違い、一軒一軒に個別差があります。そこで、皆さんにおなじみのアニメのキャラクターの家族構成をモデルに、年収1000万円世帯の家計を試算してみたいと思います。ここでは、夫婦と子ども2人の4人家族の一例として、埼玉県春日部市に住む一家に登場してもらいましょう。同じ家族構成で世帯年収1000万円の4人家族の家計をシミュレーションしてみます。