60歳を超えると、新NISAを活用するメリットがあるのかないのか――? 2024年からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)を中心に、資産運用のメリットや活用法について、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんと、ロボアドバイザーサービスのウェルスナビ代表取締役CEO柴山和久さんが本音で徹底討論した「新NISA完全活用法」セミナー(23年12月21日開催)より、一部をダイジェストでご紹介します。

【ケース4】56歳女性Iさん(家族:55歳夫)
子ども2人は就職し、それぞれ独立して一人暮らしをしている。
夫婦のお金はすべて定期預金に預け、1500万円あるが、あと30-40年も生きるとなると、足りるのか不安。退職後は夫婦で海外旅行に行きたいとも思っていて、いまの預金額では生活費だけで精いっぱいなのではと感じている。
職場主催のマネーセミナーで、50代なら債券に投資するのがおすすめで、定期預金よりは高い利回りが期待できるといわれた。
NISA口座を開いて、そこで投資すれば税金もかからないそうなので、債券に投資できる商品を探し始めた。

子どもが独立した投資初心者の50代夫婦。新NISAを軸に資産運用するポイントとは? <投資ケーススタディ4>FP深田晶恵さん×ウェルスナビCEO柴山和久さんに聞く写真はイメージです(Photo: Adobe Stock)

――この50代のご夫婦に、お二人からワンポイントアドバイスをお願いします。

柴山和久さん 先ほどの40代独身女性のケース(リンク)では、なるべく複数の資産に分散することをお薦めしましたが、この方の場合は逆のケースですね。マネーセミナーで「リスクが低くてお薦め」と言われたのか、債券だけに投資されているようですが、逆にリスクが低すぎることになると思います。もう少し株式に積極的に投資してリスクをとってもいいかなと思いますので、少額からでも始めてみることをお薦めします。

深田晶恵さん 妻56歳、夫55歳で、あと10年ぐらい現役で働かれるとすると、株式投信がいいと思います。

この点、私は柴山さんと少し考え方が違うのですが、持っているお金をすべて投資にまわす度胸のある人は多くないので、一定額の貯蓄を「債券」と考える。増えないけど減りもしないし、手数料もかからない資産です。自分のお金全体の中でリスクをとらない預金があるなら、50代であれば株式100%の投資信託でもいいのかなと思いました。働く場を確保しながら年金だけの生活をなるべく後ろ倒しにできるようにするといいかなと思います。