コロナの感染拡大による在宅勤務や生活スタイルの変化により、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISA口座を開設する動きが急増した。2024年からは新NISAがスタート。本連載では、新NISAをきっかけに投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説していく。『新NISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)の内容を基に、一部を抜粋して公開する。「新NISAってなに?」というビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすく説明するので、ぜひ最後までお付き合いください。
年率4%でも、トータル3470万円に
「新NISA」で、ぜひとも、皆さんに知っていただきたいことがあります。
前回説明したように「成長投資枠」は、1800万円の生涯投資枠のうち利用できるのは1200万円までです。しかし、「つみたて投資枠」は1800万円まで使い切ることができることです。
仮に、毎月10万円ずつ積み立てた場合、年間120万円なので、15年間で生涯投資枠の1800万円に到達できます。
毎月5万円なら年間60万円なので、30年間です。
毎月のことですから5万円でも大変かも知れません。でも、夫婦共働きでお互いに毎月5万円の積立投資ができれば、30年後に老後を迎えた時に、2人で3600万円分の投資枠を使い切ることができるのです。
しかも、これは運用益を全く考慮していない金額です。
仮に年平均4%の利回りで運用したとすると、毎月5万円を30年間積み立てた結果は、3470万2470円です。これを夫婦2人で実現できたら、何と6940万4940円にもなるのです。
これに公的年金を加えれば、老後の生活を十分に賄えるだけの資産を築くことができます。
一般的な期待リターンは、年率7%
ちなみに、グローバル株式運用において、年4%の運用利回りは、かなり保守的(慎重)な数字です。
一般的には年7%が期待リターンと言われていますから、仮にそれが現実になれば、1人につき6099万8550円。夫婦2人なら1億2199万7100円もの資産を築くことができます。
これだけの資産を金融資産のみで構築できたら、恐らく公的年金がもらえなくても、老後の生活は楽勝です。
この数字を見れば、わざわざ成長投資枠で分散を目的にして別のファンドを探したり、あるいは株式の個別銘柄などを買わなくても、十分な資産形成が可能であることがご理解いただけると思います。
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。
2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。