2024年度のインフレ率(予測)を考慮した
場合での診療報酬本体の改定率
2024年度における国の予算編成では、日本医師会を巻き込みつつ、診療報酬の改定率を巡って財務省と厚生労働省が激しい攻防を繰り広げた。攻防の結果は、23年12月20日の「大臣折衝事項」という文書で明らかになった。
まず、薬価等は市場実勢価格を踏まえて1%のマイナス改定とした。一方、診療報酬本体は前回改定の0.43%増を大きく上回る0.88%のプラス改定となった。そのため、財務省の主張は通らず、厚労省や日本医師会に軍配が上がったとみる報道も多い。
だが、この見方は間違っている。診療報酬の改定でも、従来のデフレ期とは異なり、今はインフレ率の上昇が影響するからだ。内閣府の直近の「政府経済見通し」では、24年度のインフレ率(予測)は2.5%もある。にもかかわらず、診療報酬本体の改定率が0.88%ということは、実際は1.62%のマイナス改定だ。財務省の方が一枚上手だった可能性が高い。